Vol.22 "帰還"

 高速に乗ってすぐにサービスエリアに入った。ここでもやはり本州自走組のバイクが何台か居た。高速のサービスエリアはバイクの駐車場所が指定されているのでバイク乗りは当然ながらその近辺にいるわけで、一服していると何気に会話が始まる。お互いに北海道でこんな事があったよと話しあいながらしばしの休息をとる。遠く離れた土地で独りでいる時、こうした会話はすごく自分の頭を刺激してくれる。バイクに乗っている間は当然他人と会話するわけではないので意識がどんどん自分の中に向って行くので眠くなる。サービスエリアで他人と会話すると意識が外に向くので頭がリフレッシュされると言ったところだろうか・・・

 少しだけ心と体を休めて再出発。新潟を通過した時点で午後7時既に空は暗い。行きと同じペースで帰れれば午前1時に自宅に到着だが・・・世の中そんなに甘くはない。

 まず既に空が暗い事。懸念はしていたが今回のツーリングでは荷物削減の為にスモークシールドしか持って行かなかったのだ。道内で夜間走行する気はなかったし、高速はライトが沢山あるから多分見えるだろうと思っていた。これが実際走ってみるとかなり危ない。山の中を走ってる高速道路はライトの数が予想以上に少ない。自分のヘッドライトの光りに頼るしかない状況になるわけだが、あいにくそんな状況になるとは思ってなかったRVTのライトはショボイままでとっても暗い。これでスモークだから視界は最悪だ。かと言ってシールドを上げれば風圧もさることながら虫の襲撃も恐ろしい。事実途中でシールド部にトンボ(推定)の直撃を受けて視界を大きく遮られた。これがシールドを上げていて顔面に直撃したかと思うと・・・

 更に全身が疲れ過ぎていてスピードを出す気力が持続しない。往路のように給油まで無休憩なんて出来るわけがない。それに気温もどんどん下がってくる。休憩の感覚がどんどん狭くなる。

 そう、夜中の山中の高速道路は車も当然少ない。これが晴れた昼間なら気分がいいのだが、スモークのシールド越しに見る世界はどんどん狭くなってくる。暗闇の中の一点に向って走ってるような状態。それが続くわけだから当然眠くなる。

 それがトンネルに入ると中が明るくなって周辺の景色がいきなり見えるようになり、その流れる景色の速さに驚く。自分がトンネルの出口に向って自分の制御出来ないスピードで吸い込まれていくような錯角に陥るのだ。

 途中、たまらず仮眠。もうほんとボロボロになって自宅に到着したのは予定を大幅に遅れた朝の3時30分だった。勿論朝から仕事だったのだがこれは体力的に流石にムリがあったので午前半休させて頂いた。

 こうして2001年イシカワの夏の冒険は終わった。

 7日目の走行距離:986km

合計走行距離:4,105km


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