Vol.7 "同郷"


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 国道239号を突破して日本海を拝み国道232号を北上。しばらくして道の駅富士見(道北MAPのR232のマークのある場所)で休憩した。推定16時30分。稚内まであと100kmくらいだ。

 バイクの脇でたばこを吸いながら地図を見ていると、推定40歳くらいの男性がバイクのナンバーを見て「あんた名古屋から来たんか〜。ほ〜。とうもろこし食べるかね?」と話しかけて来た。僕は「え?いいんですか?じゃあ頂きます。」と言うと、彼はビニール袋から一本取り出して笑顔で手渡し、「気ーつけてな。」と言って姿を消した。

 貰ったとうもろこしは非常に温かく、どうやら先程買ったばかりの物らしい。きっと家族の為に何本か買った中の一本だったのだろう。それをわざわざ見知らぬ自分にくれたと思うと何だかとても嬉しくなって北海道はいい所だな〜と感激していた。

 そのとうもろこしをかじりながら引き続き地図を見ていると1台の大きなアメリカンのバイクがすぐ隣に入って来て、止まる寸前でフロントタイヤを少しロックさせた。路面には砂が沢山乗っていたからだ。僕は少し驚いたがそのバイクに乗っていた半ヘルにサングラスをしたライダーも自分で驚いた様子で思わず目をあわせて軽く笑う。そのライダーがバイクを降りて会話が始まる。

ライダー: 「とうもろこし美味しいですか?」
いしかわ: 「美味しいですよ。あ、これ貰ったんですよ。さっき。40歳くらいのおじさんが「名古屋から来たんか〜」って言ってタダでくれて。」
ライダー: 「え?名古屋なんですか?あ、ホントだ。僕も名古屋ですよ。名古屋のどの辺なんですか?」
いしかわ: 「あ〜、正確には名古屋じゃないんだけど、●▲郡って分かります?」
ライダー: 「え?わかりますよ。僕も●▲郡っすよ。」
いしかわ: 「えーっ!!マジ?何町?」
ライダー: 「○△町です」
いしかわ: 「えーーーー!! 一緒やー!! 僕も○△町!! ○△町のどこです?」
ライダー: 「△□◇です。」
いしかわ: 「僕は□☆(△□◇のすぐ隣)。メッチャ近いじゃないですか!!」
ライダー: 「メチャメチャ寄寓ですね!! じゃあもしかして見かけてるかも知れませんね。」
以下会話が続く

 この後彼とは行く方向も同じで今晩は一緒に稚内のライダーハウスに泊まろうと言う事になったのだが、この道の駅に自分がジッポとナイフを忘れて引き返した為に結局別れた。 

 でもとにかく嬉しかった。まさか同じ町内に住んでいる人間とこんなに遠く離れた地で会うとは。。。今回はあまりにも近いライダーに出会えたわけだが、同じナンバーでもやっぱりかなり嬉しい。初対面でもすごく身近な気がする。初めて会うのだから何処に住んでいる人でも同じ筈なんだけど、やっぱり嬉しいのだ。

 そしてまた独り、ニヤニヤしながらバイクを北へ向けた。


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