◆ Project-2 倒立Fフォーク&Wディスク化 導入編

 倒立Fフォーク&Wディスク化。当然同時に行うわけだが、その前に少し倒立Fフォーク&Wディスクについて考えてみる。

 この方式を採用しているバイクは国産中型クラスではHONDA RVF400,YAMAHA TZR250,SUZUKI RGV-γ250,Kawasaki ZXRと言ったところかな?思い当たるのはそれくらいだ。個人的には、メーカーがSPADAと同じのRVFか、以前乗っていたTZRのモノが理想的だ。TZRは過去にフロントを全損させて、(工賃がかかり過ぎる為に)自分でごっそり交換した事があるので、何となく心強い。しかし、TZRに関しては、グレードによってサスが異なる。’93以前(推定)のスタンダードとSPやRSではショックの径が違い、調節の幅も異なる。が、単純にショックが良ければ全てがいいとは言い難い。倒立式によくあるのは、フレーム剛性が負けてしまう為に、事故を起こした時にフォークが曲がらずにフレームが曲がってしまうのだ。SPADAは倒立Fフォークを装備しているレーサーレプリカに比べると圧倒的にフレーム剛性が不足している。事故った時の廃車率が上がるのは覚悟しなくてはならない。まあ、そんな事情から倒立だけど細い方がいいような気もする。SPADAでは何付けてもフレームが負ける気はするが、、、 


2001年1月20日(土)
 またしても”月刊パーツBG”でTZRのフロント一式を選び、今度は滋賀県に買い出し。パーツBGに出てた広告には年式、グレードは書いてなかったので、まさに見てみなければわからない状態だった。現物は見た所推定'92TZRのスタンダードだ。ただ、部品がちょっと古い。まあ、8年〜9年前のモノなので古いのは当たり前だが、状態はあまり良くない。しかし、ホントに一式揃っている。タイヤ、ホイール、ディスク、キャリパー、フォーク、トップブリッジ、三股、ハンドル、、、値段は5万5千円。う〜ん、買ってしまった。もっと値切るべきだった。ちょっと後悔。


2001年 1月21日(日)

 改めて購入した部品を検証してみると、予想以上に状態が悪い。失敗した。間違いなく高かった。と言うかフォークやブレーキが正常に機能するかが心配だ。と、言うのは、この部品、事故を起こして廃車になり、しばらく放置されていたモノだ。しかもその事故はフロントにダメージを受けた事故だ。何故そう思うかと言うと、、、
1. ブレーキレバーが曲がっている。乗っていたならこれは間違いなく交換されている筈。
2. フォークの下の方に、フェンダーを固定する部分があるがこれが片方曲がっている。結構力がかからなければ曲がらないと思う。
3. タイヤのゴムが劣化してヒビが入っている。相当乗られていなかった証拠だ。
4. 各部のネジに錆が多く見られる。

 一式あると言っても、各部品相当劣化しており、交換した方がいい部品がかなりある。現物を見に行っておきながら失敗するとは情けない。しかし、人間というのはわざわざ遠くまで買い出しに行くと、多少悪くても「ま、いっか」と思ってしまうのだ。そして、喜んでしまうが、あとで「あ、しまったな〜。マズイな〜。」となる。これぞ人間の性なのだ。

 とりあえず、購入した部品をバラした。全部がきれいな状態なら良いが、交換する部品を検証するのと、古くても使用する部品をきれいにする為だ。

 とりあえずブレーキオイルを抜いて、ブレーキを外して掃除。ハンドルに付いてる部品もいろいろと外した。良く考えたら、キーの付け替えが困る。盗難対策で簡単に交換出来ないようになっているからだ。ハンドルロックのからみもある。そして電装関係もハンドル回りで集中制御しているので、このへんも頭がイタイ。

 ライトやメーターのステーも恐らく加工や造り替えが必要になるだろう。どのみちライトもメーターも交換する予定だったので、出費が嵩むが一緒にやってしまった方が良さそうだ。

 フロント部はリアのスイングアームに比べて、左右のオフセットやチェーン関係がないから大した事ないだろうと思っていたが、全く持ってアマアマだった。かなり手こずりそうだ。


2001 年 1月24日(火)
 さて、フロントを丸ごと移植するわけだから当然フロント部を浮かせなくてはならない。フロントのタイヤ交換の時等に使われているスタンドは現物を間近でよく見た事がないので何とも言えないが、恐らくアンダブラケットあたりを支えて持ち上げるのだろう(知ってる人、教えて下さい)。そうでなくても、その付近で持ち上げている事は間違いない。今回の作業ではアンダブラケットも交換するので、それでは都合が悪い。

 過去にTZRのフロント部を交換した時には、フレームを天井からチェーンで吊って作業を行ったのだが、これについては”RVT Project-1”で既に記載してある通り当時はリアのスイングアームの両側をスタンドで持ち上げた状態だったので、横方向の安定はリアで確保されていた。しかし、既にリアがプロアームになってしまっている為にそうはいかない。エンジン、タンク周辺で車体を持ち上げ、なおかつ横方向の安定を確保しなくてはならない。

 エンジンの下を覗いて見ると、”ここから持ち上げて下さい”と言わんばかりにオイルパンに足が付いている。これが持ち上げる為にあるのか、はたまたエンジンを降ろした時に床に置いても安定させる為にある物なのかは分からないが、ここで支えるのが一番妥当そうなので、ここから持ち上げる事にした。


2001年 1月27日(土)

 ようやくパーツリストが届いたので、交換部品の洗い出し。TZR('93年式RS)のパーツリストは本当は持っていたのだが、つい最近部屋の片付けをした時に捨ててしまったばかりだった。しかし今回購入したFフォークはRSとはモノが違うので、どのみち必要だった。

 ハンドル廻りの部品については、まずブレーキ関係はTZRを使用、ダブルディスクになるので、マスターシリンダーやリザーバータンクもTZRのモノを使用するにが妥当だろう。しかし、アクセルやキルスイッチ、スタートスイッチ、それに左のウインカースイッチ等、電装関係はSPADAのを使用しようと思う。2ストのTZRには当然セルモーターのスタートスイッチなんてモノは付いていないし、TZRに付いてるハザードスイッチはSPADAにはない。電装についてはまだよく分からないので、SPADAのでそのまま使用した方が無難だろう。

 Fフォークは一度バラした方がよさそうだ。フォークに耳をあてて逆さまにすると、中でコポコポいっている(-.-; 相当オイルが減っているらしい。自分はフォークをバラした事はない。サービスマニュアルを見る限り面倒臭そうだ。しかしそのままだとヤバそうだし、、、


2001 年 2月2日(金)
 ジャッキ(センターリフト)試作1号がようやく完成。これで作業が開始出来る。
2001年 2月3日(土)
 注文しておいた部品が大体届いた。予想を遥かに上回って高額だった。約3万2千円。びっくりしてタイヤの値段を聞いたら、タイヤが付け替え工賃込みで1万8千円もするらしい。う〜ん、そんなに高かったな?それとも注文したタイヤが高価だったのか?注文したのは確かブリヂストンのバトラックスなのだが、、、。中古で足回りセットを購入する時はタイヤの状態をしっかり把握しておかないと後で手痛い出費が待ち構える事になるという事を思い知った。
 右ハンドルに付く部品。この写真は交換前の物。交換するのはブレーキホース2本、ブレーキレバーとレバーをとめるボルト。
 次にとりかかったのはフロントフォークのバラシ。オイルと、各消耗パーツの交換の為だ。フォークの一番上の部品を外してオイルを抜いてみると、意外にもオイルは異常にきれいだ。全然濁っていない。少し損した気分になった。ここから先、TZR250RのFフォークをバラすにはスプリングを圧縮した状態で止めておく”フォークスプリングコンプレッサー”という特殊工具が本来必要になる。これは後日自作してから作業を再開しよう。
 余談だが、倒立サスのオイルは特別らしい。知らずにフォークオイルを買って、バイク屋の人に「フォークのバラシって特殊工具がないとムリなんですか?」って聞いたら、「出来ない事はないけど、、、辛いと思いますよ。あ、このオイル倒立で使うんですか?倒立はオイルが違いますよ。」と言われて返品。倒立用を注文した。そんな状況なのでオイルはまだないが、どうせオイルを入れるのは一番最後なので、スプリングコンプレッサーが出来る頃には届くであろう。
 そしてついに自作のセンターリフトでジャッキアップしていよいよバラシ開始。一気にフロントを全部バラした。夜の11時頃から開始して、朝の4時過ぎまでかかった。まるまる外して違うモノをごっそり移植するわけだから、すんなり取り付けられる(無加工、ボルトオン)モノならばすぐ出来るような気はするが大きな間違いである。
 自分はまんまとハマった。バラしても、外した部品をまた可能な限り組み付けておくわけだから、なるべくバラさずにバイクから外してしまいたいと思うのが人間だ。自分はブレーキオイルを抜かずに外したかったのだが、それをする為には、ライトを外してハーネスをバラさなくてはならない。外せそうな部品をどかどか外したので、ハンドル廻りやライトがぶら下がってしまい、それを支えながら作業をしていたのでかなり辛い体勢になり、「あと少し、こいつを外せばブレーキホースが外れる」と思い踏ん張って作業し、それがクリア出来ると、「うわ、今度はお前か!!畜生!!こいつを外せば、、、」の、くり返しである(-o-)。結局体が限界に近付き、ここまで苦労しなくてもブレーキオイル抜いてホースを外した方が早いではないかという事に気付きギブアップ。虚しかった。改めて見ると、最初からこだわらずにブレーキオイルを抜いて順当にブレーキホースを外してさえいればバラさなくても良かった部品が多々、、、。

 教訓、作業は手抜きをしようとしずにサービスマニュアルに従い順番に行いましょう。”急がば回れ”です。

 そしてトップブリッジ、ステアリングステムを外すと厳しい現実の壁が、、、


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