Project-2 倒立Fフォーク&Wディスク化 インプレッション

2001.3.23 (Fri)

 まだ仮組み状態でのテスト走行。先ず心配していたステアリングの切れ角の減少は走行時全く気にならなかった。Uターンも違和感なく出来る。Wディスク化されたブレーキはやはり威力抜群!!シングルは止まらなくて恐かったが、このブレーキ性能はすばらしい。ただエア抜きが不十分な為(夜中の0時30分からエア抜き作業となれば手抜きもしたくなるのが人間である)か、握りはじめの効き具合がやや悪い。それでも十二分な制動力で、後で車に乗ったら車のブレーキが故障したのではないかと錯角を起こした。

 移植した部品の状態も悪かった為、まっすぐ走るかどうかも心配だったがとりあえずは問題はみられなかった。

 しかしハンドル位置の極端な低下によるポジションの悪化は辛い。これは慣れないとツーリング等はかなり疲れそうである。


2001.5.20 (Sun) 

 初の本格的実走テスト。ホントは中距離巡行テストを兼ねたツーリングの予定であったが、一緒に行ったメンバーがとてもツーリングとは言えないペースで走りまくった為にワインディング全開耐久テストになってしまった。ここでRVTは驚異的な旋回性能を発揮した。前半はまだ自分がイマイチ乗れていなかったのと、上りでのパワー不足でとりわけ何ともなかったのだが、走っていてうっかりコーナーにオーバースピードで侵入して大回りしてしまい、アウト側に膨らんだ。オーバースピードなのだから当然それ以上バンクして切り込もうとすればスリップダウンしそうになったり、フロントがばたついたりしそうなモノだが、そこで少しブレーキを掛けると少し減速して自然にそこから切り込めるのだ。その動作の何とスムーズな事、そしてこの時の安定感。自分が考えていたよりもずっと限界が高いようだ。そこから一気にペースアップ。車体がバンクしている時のブレーキコントロール性の良さとコーナリング中の安定感。加えて多少膨らんでもいつでもインに切り込めるというまさしく無敵のコーナーリングでビックバイクにピッタリ付いて行く。ハイグリップタイヤ、Wディスク、倒立Fフォークが存分に威力を発揮し、この日のメンバー全てが「SPADAはえ〜」と驚いていた。自分でもあまりの旋回性の高さに休憩でバイクを降りた時は少し興奮気味だった。

 しかし、この日は走行途中に左のFフォークからフォークオイルが大量に漏れるというアクシデントに見舞われた。詳しくは「まとめとその後の経過」に記載するが、これは正直なおらない可能性が高い致命的な欠陥である。しかし、「まあ、500kmごとにフォークオイルを補充しないかんくってもこの性能なら許そう」と思わせるほどにすばらしいパフォーマンスを見せてくれた。


2001.7.15(Sun)

 東海ジムカーナ第2戦に参戦したが、RVTの短所が最大限に発揮され完走も出来ないという惨敗を喫した。まず、予想はしていたがハンドルに切れ角が少なくなっているので小回りが全然きかない。既に記述してきた通り、倒立になればトップブリッジ側のフォークが太くなるのでハンドルを切るとすぐにフォークがラジエターに干渉してしまいノーマルに比べて切れ角が小さくなるのは避けられない。加えてハンドルがトップブリッジより下になっている為に右に一杯に切った時はアクセルを操作する右手がフレーム、タンクに圧迫される為にアクセルの操作に支障が出る。初めから倒立Fで設計してあるバイクはラジエーターの位置はそれなりに考えられているし、ハンドル廻りのフレーム、タンクには操作に支障がでないように凹みがある。強引に移植したRVTの最大の欠陥と言える。一般公道やワインディングを走る分には全く支障はないのだが、決められた狭い幅の中で旋回しなければならないジムカーナではそうはいかない。

 ハンドルの切れないバイクが小回りするにはもう倒すしかない。しかし倒れた状態でバランスをコントロールするにはアクセルワークが重要なわけでその操作に支障が出るのだから右旋回なんて最悪である。

 そんな状況下でこの日のコースはスタートしていきなり右360度旋回、続けて左540度旋回。但し、ただの旋回ではなく左は縁石で右はパイロン2つのてっぺんに棒がくっついているやつ。もう泣きたかった。小回りする為に当然目一杯寝かせるわけだからそんな状態で縁石やパイロン+棒に乗ったりしたら転倒は必至。ブレーキをかけてもそんなバイクが寝た状態で止まったってこれまた持ちこたえる自信はない。朝に人だかりが出来るような注目されるバイクでスタートしていきなり転倒なんてしたらあまりにもカッコ悪すぎる。

 1回目。この日のウオーミングアップランは8の字の連続だったのだが、これも道幅の都合上場所によってかなり厳しい。そう、これがいきなり出来なかった。まあ、後で聞いた話によれば他の人も場所によって出来ない箇所がいくつかあって、そういう所は0字で回っていたらしいのだが、とにかく小回りの8の字が出来なかった時点で真っ青である。この状態ではとても最初の右360度の旋回は出来ないと判断。1回目を棄権。

 この時ジムカーナに対する大きな勘違いをしていた亊に気付く。タイムを追求しようとしたら、旋回を減速して小回りする方法とスピードをあまり殺さずに大回りする方法とがあると思うが、それはバイクの特性や個人の好みだと思っていたので、自分としてはRVTが小回り苦手なのは百も承知なわけで、はなっから小回りなんて捨てて高速旋回の練習をしていたのだ。多少の大回りやラインのはみだしによる減点(確か前回はスタートしてすぐ四角いラインの中で360度旋回してはみ出したら減点だったような記憶があった)等は今回は仕方がないと、、、それがどうだ、小回り出来ないと回れないどころか転倒の可能性が高いのだ。前日の特訓では目一杯ハングオフしてバイクを引くように倒して旋回半径を小さくしようとしていたがそんな乗り方ではとても小回りがおっつかない。リーンアウトでバイクを押し込むように倒さないと最初の旋回がクリア出来ない。。。

 どうする。。。幸い自宅まで5分かからない。2回目までには3時間近くありそうだ。フロントをノーマル仕様に換装するか?時間的に間に合うのか?組み換えてブレーキのエア抜きもある。バラすだけバラして間に合わなければ只のバカだ。それにノーマルの部品もかなり加工して使用しているのですんなり組める保証もない。となると、、、今の仕様で特訓するしかない。そして地元の利を活かして会場外に出て緊急特訓開始。炎天下の駐車場荒らし。ひたすらリーンアウトの右旋回。しかし、かなりサマになって来た矢先に転倒。幸いバイクも自分もダメージは殆ど無い。特訓再開。自信が無いながらも渋々会場に戻る。

 2回目ウォームアップ。数時間漬けのリーンアウトと ”キツイ8の字は0字でオッケー”のおかげでそれなりにこなしていたが、やはりこの旋回半径では最初の右360度は厳しいと思い、バランスを崩しても持ちこたえられるように初めから旋回方向の足を出してさらにバイクを倒し込むようにした。それでも現実は厳しい。

 しかし散々このサイトでジムカーナ参戦すると言っておきながら ”旋回出来ないのでびびって2回とも棄権しました”なんて読者の皆さんは納得せんでしょう。そんな亊したら ”根性無し”扱いは間違い無い。ここで逃げたらオトコが廃る。断固最初の旋回をクリアするという決意(決められた幅で旋回すると言うより縁石などに不安定な状態で乗り上げても根性で持ちこたえてクリヤする決意)を胸に、RVTと書かれた怪し気なバイクは注目のなか初出走のスタート位置に移動する。

 スタート!! 左の縁石ぎりぎりから最初にして最大の難関右360度旋回を開始。右側のパイロン+棒をスレスレで通過して360度目の左側縁石をギリギリクリア!! 続けて左540度。右側のパイロン+棒目一杯から左旋回。ここで左側の縁石に若干乗り上げるもなんとか持ちこたえてクリア!!

「おっしゃー!!」心のガッツポーズ(って普通の人はここまで苦労しないんだけど、、、(^-^;))。1本目を棄権している自分としてはこのタイムが全てな訳で、小回りで不利を強いられたF廻りが挽回するにはWディスクによる高い制動力を信じてとにかくアクセル開けれるだけ開けた。しかし、最初の右旋回をクリアする亊で頭が一杯だったイシカワ選手、それ以外は既に考える余裕が無かった上に焦っていたので、旋回後の連続S字、連続0字までは良かったが、次のスラロームでライン取りをミス。スラローム最後のパイロンを抜ける為にはその一個前のパイロンできつい右旋回をしないといけなかったのに、オーバースピードでインから入ってしまって、気付いたら最後のパイロンはかなり右にある。もうその時点でダメだったのだ。それを無理なブレーキング+右バンク。絵に書いたようなスリップダウン。RVTは結局完走すら出来ずに文字通り砕けた。ステップは折れるはステムのストッパは砕けるは右ハンドルのスイッチは潰れるはウインカーは割れるはレバーも当然曲がるし、、、もう、これ以上は無いだろうという屈辱の惨敗デビューだった。


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